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Vol.373 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
心地よい秋風の吹く空の下、宮崎県は今月20日彼岸入りをしました。県内の墓地には朝早くから、多くの人々が訪れ先祖の供養を行っていました。墓石の周りを掃除した後、色鮮やかな花を手向け、様々な思いを先祖に報告をし、静かに手を合わせていたようです。
私が「お彼岸」と言われまず一番に思い出すものはやはり『彼岸花』です。この彼岸花、日本の原風景に溶け込んでいるため日本古来の花として認識されている方が多いのではないでしょうか?しかし、実は中国から稲が伝わると同時期くらいに日本に渡来してきた帰化植物だということです。それを裏付ける根拠として人里近い堤防や田んぼのあぜ道に多く、ほとんどが人の手で植えられていったものであり、完全な自生ではないということだからです。彼岸花をあぜ道に植えた理由としては、いくつか説があるようで地下茎(球根、正確には鱗茎:りんけい)にはデンプンが含まれ、水にさらすと食用となり、昔は飢饉(ききん)に備えて田んぼのあぜ道に植えたというものや、ノネズミがあぜ道や土手に穴を開けるのを、彼岸花の毒性のある球根を植えることで防ぐ、という説などがあります。
また、全国各地に様々な呼び名が残っています。その数何と!?1,000以上というのだから驚きです。シビトバナ、キツネノタイマツ、シタマガリ、シタコジケ、テクサリバナ、ユウレイバナ、ハヌケグサ、ヤクビョウバナ等々、昔から有毒であるからなのかシビトバナなど不吉な名前が多い花ですが、あまり好まれる花てはなかったようですね。
今では純粋に花の美しさを認め、いち早く季節を伝える花として広く普及しています。今年も赤く燃えさかる炎のようにあぜ道に咲き乱れていることでしょう。